この瞬間はどうして永遠に続かないのだろうか、と考えていたら物語を必要とするようになった。
風景をどんなに見つめても完成しない。時間が流れ去ってしまうからだ。
ひとつひとつ細部を目で追っている間に光は消え、一瞬前に見た色を忘れる。
強く何かを見ようと思った時ほど、光も情動も次々に消え去っていくのを鮮明に感じる。
そうやっていつも時間に置き去りにされるから、精神は緻密な回想を必要としている。
写真に固着された光もまた時間に置き去りにされているが、折り重なる影たちは白昼夢を示唆している。
私はそれを見つめ、夢の中で辞書を引くように言葉を見つけ出し、物語を作る。
言葉は世界を定義せず、細部を網のように繋ぎ、広げ、時間を閉じる。
物語の中でなら、さらわれた瞬間に何度も立ち返ることができる。何度でも出会い、何度でも失う。
立っている場所は消える。足も地も解釈でしかない。何かを見るということは、別の次元にある。
風景を見るためには、瞬きの合間に立ち現れる幻を掴まえなくてはいけない。
Birthday beach
波打ち際に流れ着くものたちの物語。
度重なる開発で幾度も姿を変え、埋め立てられた船橋の海岸。
嵐で消失した砂浜が30年ぶりに突然姿を現した、アイルランドのアキル島。
二つの異なる土地で出会った風景を繋ぎ、
写真、短編小説、その他様々な断片を用いて構成する。
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◎ 作 品 を 「 読 む 」 パ ー テ ィ ※ 応募は定員に達した為、締め切りました。
11月23日 (土) 19:00 ー 21:30
清水裕貴の小説「誕生日の海岸」に登場するレストランをイメージした空間で
お食事をしながら 言葉 / 写真 相互から清水裕貴の世界を味わう鑑賞イベントです。
参 加 費: ¥ 5,000.ー / 1名様
( Copains de 3331 オードブル / ドリンク / イベント限定アートブックつき )
人 数: 10 名様
ご 予 約: メールはこちら
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同時開催:
Empty park
会 期:2019年10月24日(木)- 2019年12月6日(金) ※ 11月6日(水) 〜 9日(土) 休 廊
場 所:PGI 〒106-0044東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F TEL.03-5114-7935
開廊時間 : 月 ー 金 11時00分 - 19時00分
土 11時00分 - 18時00分
休 廊:日 ・祝
入場無料
http://www.pgi.ac
清水 裕貴 Yuki Shimizu
2007年武蔵野美術大学映像学科卒業。2011年1Wallグランプリ受賞。2016年三木淳賞受賞。2018年新潮社R18文学賞大賞受賞。土地の歴史や伝承のリサーチをベースにして、写真と言葉を組み合わせて風景を表現している。近年は小説も発表。船橋に予約制ギャラリー tide/poolをオープン。
< 個展 >
2012 ホワイトサンズ(ガーディアンガーデン)
2014 mayim mayim(NEW ACCIDENT)
2014 mayim mayim(UNDO)
2016 熊を殺す(ニコンサロン)
2018 わたしの怪物(Kanzan gallery)
2019 地の巣へ(Nikon salon)
2019 誕生日の海岸(tide/pool)
< グループ展 >
2011 第5回写真「1wall」(ガーディアンガーデン)
2012 INDEPENDENT LIGHT vol.01(新宿眼科画廊)
2013 INDEPENDENT LIGHT vol.03/東川町国際写真フェスティバル(北海道)
2014 西根ナーレ 2014(山形)
2015 中之条ビエンナーレ(群馬)
2017 創造海岸いなげ展(稲毛市民ギャラリー)
2017 中之条ビエンナーレ(群馬)